冷えるから、と。
お母さんが買ってくれた、
私の膝掛け。
大切な、私の思い出。
高校の思い出と、大学初回の思い出と。
一緒に、棄てられてしまうんだろうか。
そうであれば、
何だと言うのか。
所詮、モノはモノだ。
きっと、いつか。
壊れる日が…ほつれる日が
やって来るんだ。
それが早く来てしまったんだ。
そう思えば、良いではないか。
どうも、モノに固執する癖がある。
だから持ち物が増える一方なのか。
でも、気に入ったものは、大切に扱う主義だ。
容易く手放したりは、したくない。
壊すなんて、尚更だ。
長く、大切に使えば
そのモノには、
思い出が宿る。
私の、かけらであったとしても。
愛情がこもる。
容易く手放すなんて、できない。
私は、自分だったら。
愛されたものに
そんなことされたら、
嫌だから。
私がモノを愛するのには、時間がかかる。
そして私は愛すべきものを選ぶ。
選ばれしものだから。
私は、それを愛す。
それに、思い出という色を
どんどん重ね塗りしていく。
そうやって、私の持ち物たちは彩られる。
そして奪われれば、心には穴があく。
棄てられてしまえば、心が、私が、涙を流す。
…ずいぶんと長い間、洋服以外の「新調」をしていない気がする。
何もかもを、気に入っているんだ。
棄てないで、欲しい。
ペンケースは、結局割れたままだ。
替える気は、全くない。
膝掛けの運命や…如何に。
それを知る由もない、
そして知る勇気もない
私は所詮
無力な人間だ。
……眠れぬ夜は、戯言が増える。
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